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つまり、僕を裸にして、恥ずかしい写真を撮影するのである。裸で股間を丸出しにして踊りを踊らされたり、あるいはちょっとえっちな真似を強要されたり、皆の前でトイレをするように命じられたこともあった。もし僕がみんなにされたことをバラそうものならその写真をネットにバラ撒くからな、ということである。
結局それも脅迫じゃないか、と言ってもどうにもならない。
この場所で僕は圧倒的な弱者であり、彼等はいつだって強者だった。六年生で、そいつらと同じクラスになってしまった時点で運の尽きなのである。一年間、ただ黙って耐え忍ぶしかなかった。なんせ六年生だ。卒業すれば、奴らは総じてどこかの有名私立中学に行ってしまう(ハズ)である(こんなのを入学させてしまうようなどこぞの私立も不憫というか、人を見る目がないなとしか言いようがないけれど)。とにかく中学になれば、こいつらの顔を見ないで済むようになるのは確かなはずだった。
シングルマザーの母に、余計な心配をかけたくもない。高校受験を控えた年の離れた姉にも同じ。僕は何をされても、石のように我慢し続けなければいけないと思っていた。例えそれが、どれほど苦しく惨めなことであったとしてもだ。
「教室の机さ、いつか使ってやろうと思ってたんだ」
ふと、耳に入った単語に、僕は眼を見開くことになった。
「なあ神山、あのボロ机にどんな怪談があるか知ってっか?」
「……し、知らない」
「あれな。昔自殺した生徒の物らしいぜ」
リーダー格の少年は、にやにやと笑いながら僕に言う。
「昔、すっげえ美人だったせいで、クラスの女子に嫉妬されまくってた女の子がいたらしい。で、いじめられて、あの机を踏み台にして首吊って自殺してたんだとさ!……教室の、あの隅っこ。もう何十年も前なのに、机の場所は変わってないらしい。動かそうとすると、触った奴に祟りがあるんだとさ。あの場所とあの机には、彼女……ユカリさんの呪いがかかってるんだと」
だからな、と彼は続ける。
「お前、呪いがあるかどうか試してみろよ。机にラクガキしたり、傷をつけたりした生徒は真っ先に呪われるって話だからさ!」
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