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アラームの音に夢から覚めたミチルは、瞳を閉じたまま、そのメロディーに酔いしれていた。設定している大好きなアニメソングは、もうすぐサビを迎えようとしている。
ゆっくりと瞼を開くと、壁一面に貼られたアニメのイラストが目に入る。先ほどまで夢の世界に居させてくれた枕には、美青年のイラストが書かれている。
サビも終わり音楽を堪能したミチルは、満足気に背伸びをした。
棚に飾られた大量のフィギュア、ベッドの上を占拠するぬいぐるみ。
友達や家族にはなかなか理解してもらえないけれど、このいわゆる二次元のキャラクターが、たまらなく愛おしい。
心地よい目覚めに笑みを浮かべ、スマートフォンを見ると、いつもの奴からのメッセージ。
『姫、起きたでござるか?』
いつものノリでメッセージを返す。
『我、起きけり』
最近ようやく趣味の合う仲間たちを見つけた。メッセージをやり取りしているのは、巷で話題のマッチングアプリだ。
この変わった言葉を使う男を通して、他にもたくさん親しい仲間ができた。自分の住む地域にこんなに仲間がいることは、救いのようでもあった。
良くない噂も聞くけれど、ミチルに届くメッセージは、同じ匂いのする男たちからがほとんどだ。イケイケな下心丸出しな輩は見当たらない。
これぞマッチングアプリの正しい使い方なのかもしれないと、密かに思っている。
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