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予想では、せいぜい二、三人だった。それが、十数人は集まっている。
暇そうにしていたコンビニの店員が、店長らしき人を呼び、その異様な光景を眺めている。
窓の向かいには数人の男たちが、さり気なくスマートフォンを弄っては、時々周囲を見渡している。
車内にいる男たちも同じだ。
──なんか、ヤバくない?
さっきから視線も感じるようになった。
冷静に考えれば、この男たちの目的は、出会いだ。下心丸出しでお迎えに来た、飢えた獣だ。
獲物を狙うカラスのように、各々が周囲に気を配りながらも、時折りこちらを見ている。
ここでスマートフォンを取り出そうものなら、と息を呑む。
たまらず逃げるようにトイレに駆け込むと、スマートフォンの画面を見た。
『来たよー』
『ミチルたん、本読んでる?』
『出て来てよ』
スマートフォンを持つ手が震えた。バレている。
──そうだ、あのトラックのゴツいお兄さんに助けてもらおう。あの人なら、誰も近づけない。
ミチルは一縷の願いを込めて画面を見ると、失望した。
こんなに居たら、誰が誰だかわからない。
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