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再び雑誌を開き窓の外を見ると、違和感を覚えた。
窓の向こうで、男たちが話し込んでいる。スマートフォンの画面を見せ合い、確認するように頷き合っている。
イラストが書かれたスポーツカーの男が、爆音の軽自動車の持ち主や、バイクの男と話し込んでいたが、やがて男たちは出て行った。
自転車の男と歩いて来た男も、話しながら帰って行く。
トラックを見ると、先程の男がニコニコしながら話をして、しばらくするとトラックの男は帰って行った。
誰も居なくなった駐車場に、先程の男が一人、ニコッと笑みを向けて来た。
ミチルは不思議そうに訊ねた。
「どうしてこんな事に?」
「いやぁ、普通に、ミチルさんが怖がってるからって伝えましたよ」
「……怒ってませんでした?」
「みんな事情を話せばわかってくれましたよ。本当に心配してお迎えに来た人がほとんどでしたから」
「みんな……」
「それに、みんなにとっては、盗まれたフィギュアの方も大問題みたいでした。今頃血眼で探してますよ」
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