1445人が本棚に入れています
本棚に追加
聞き慣れた声が耳に飛び込んできて、驚いて興奮も瞬時に覚める。
目の前の男が向こう側に引かれた途端、視界が一気に開けたと同時に声の主と対面する。其処に立っていたのは、息を切らした白雪さんだった。いつもの冷静さを無くした様子の彼は、そのまま持っていた注射器をグサッと男の膝に挿す。
「それは……発情抑制剤…?」
「…っ、はい。この人も一時的にしか効かないと思うのですが…私もαですので死ぬ程キツイです」
この人も…?
そうだ、僕襲われて…
もしかして扉が開いて匂いが漏れていたのだろうか。
それで他の人にも迷惑を…と小さく察してしまった僕は、サーッと一気に青褪めて「御免なさい……」と口を覆い隠しながら漏らした。しかし、白雪さんは僕を責めるどころか真剣な面持ちで言った。
最初のコメントを投稿しよう!