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では…と部屋を出て行く二つの背中を見送る。
緊張の糸が解けたのか、力が抜けた僕はそのまま床に寝転ぶ様に倒れた。胸に手を当てると、まだ鼓動がドクドクと鳴り続けている。
(そうだ、全部終わったら、また麗二と一緒にーー……)
「ーー……っ?!」
その瞬間、心臓がドクン、と強く鳴ったのを感じた。
落ち着いていた筈なのに、心臓が突然強く脈打ち始めたのだ。先程迄とは比べ物にならない程の突然の激しいヒートに「あぐっ」と苦しい声が漏れ出る。床に這いつくばった状態で、なんとか扉の前迄向かって行く。
(た、大変だ。いきなり激しくなってきた。多分白雪さんはもう戻って来ない。早く、早く扉を完全に閉めないと……鍵、掛けないと、また迷惑を……)
床に這いつくばったまま、上半身を軽く浮かせてドアノブに手を伸ばす。しかし、そのドアノブは次の瞬間、外側に静かに引かれた。ドクドク煩い心臓を抱えたまま、僕は恐る恐る顔を上げる。
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