episode 4

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そう思いながら逃げる様にベッドの上に行くが、彼はギシッと音を立てながらベッドの上に上がり込んできた。暗闇の中、月明かりに照らされた麗二の姿はまるで獣の様だった。髪を掻き上げると、着ていたシャツの隙間から汗が滴るのが確認出来た。 「ーー……琥珀」 「…!麗二、意識があるのか。ダメだよ!僕に手を出しちゃダメ!君は僕の興奮に当てられているだけなんだよ!」 肩を揺さぶり、必死に抵抗の言葉を浴びせる。普段なら僕も彼を押し倒したりなど出来る力を持ち合わせてはいるが、今はこんな状態のせいで力は湧いてこない。ならば説得するしか、と必死に言うのだが、麗二は過呼吸を小さく続けたまま僕を見つめる。 「僕は君の運命じゃ無い。麗二の運命はもっと他にーー…」 「……!…煩い!」 次の瞬間、うつ伏せの状態で押し倒される自分。「麗二!」と声を上げながら慌てて振り返り、ビクッとなる。麗二は鋭い視線を僕に投げて、ゆっくりと告げる。 「君に俺の運命を勝手に決めて貰いたくない。俺の運命は俺のモノだ」 「麗……」
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