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俯き加減に項垂れる彼を見てみると、声だけで無く肩も僅かに震えていた。僕は反射的に「嫌いな訳が無い」と口にしていた。ツー…と頬に涙が伝るのを覚えながら、彼の頬に両手を添える。驚いた様に此方を見てくる彼の瞳には驚きの色が混じっていた。
「僕だって……麗二の事がずっと。ずっと好きだったんですから」
あの日、大事な時期当主と執事として線引きをされた関係。
この言葉は決して口にしてはならない。
それなのに、一度口にしてしまったら、もうソレは止まる事を知らなかった。額に自分の額を当て「好き」ともう一度呟く。麗二もそれに応える様に僕の手に自分の手を添えてくれる。
身体の疼きは止まらない。
それでも、そうして触れるだけで、自然と心は満たされた気持ちになっていた。
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