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「私は貴方と彼を再会させた事を後悔していません」
「……秋人様は、さぞかしガッカリなさるでしょうね」
もしかしたら彼は予感していたのかもしれない。
僕が麗二と初めて出会ったあの日から、僕が少しずつ彼に惹かれていた事に。思い出しながら呟くと、白雪さんはソファに凭れ掛かりながら「あの人も悪気があった訳では無いんです」と困った様に笑う。
「ただ、あの人が下した選択は麗二を苦しめる事になった。………琥珀様。自覚されていないかもしれませんが、貴方は麗二様にとって、本当にかけがいの無い存在なんです」
八年前____
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『今日から麗二の室長を頼みたい。良いかな』
あの日ーー…秋人当主は、私の目を見据え、ハッキリとそう告げた。
家柄の関係で、彼の屋敷にお世話になる事になった私、白雪透は、はるばる彼の新しい室長としてお呼ばれした。
元々話があると聞いていた私は、特に驚く事も無く『喜んでお受けします』と笑みを返し、少年を見た。少年は顔を上げ、しっかり私を見ると、何故か何かを訴える様な視線を送ってきた。秋人当主の隣には、執事服を着た一人のスラッとした男が立っている。名は瀬名というらしい。
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