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笑顔で振り返り様に言うと、麗二様は俯き加減になった状態で私の隣にしゃがみ込んだ。そのままソレを手にすると、寂しそうな表情で『琥珀が、教えてくれたんだ』と呟いた。
(琥珀って…確か、此処の屋敷に住んでいる血の繋がっていない……)
秋人様のご友人の息子さんとは聞いていたが、まさか彼が本当に引き取る事になっていたとは。内心思いながらも『そうだったのですね』と返す。麗二様はそれ以上何も言わずに、チリリ…と音を鳴らし続けている。
『でも、もう会えない。会う事を突然許されなくなった。琥珀は、どうして父さんの言う事を聞き入れたのか……』
『!』
其処まで聞いて、大体事情を察する。
恐らく、小学生の時にある検査の結果による秋人様の判断だろう、と。麗二様がαって事は相手の琥珀様は恐らくーー……
(Ω……か)
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