𝐓𝐫𝐮𝐞 𝐋𝐨𝐯𝐞 𝟏

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『わぁっ、可愛い子だね』 キラキラだ。 眩しいくらいの金髪に目がチカチカしそうになる。 昔読んだ、星の王子様みたいな圧倒的な存在感。 目をしばしばさせながら目の前に駆けて来た彼を見据える。出迎えてくれた彼は、僕に上手に一礼をすると『父さん、達弘おじさんの息子を引き取るって本当?』と、隣に立つ当主に聞いていた。彼は深く頷き、『そうだ』と告げた。次の瞬間、少年はパアッと向日葵が咲く様に微笑んで、僕の手を容易く手に取った。初対面にしては近過ぎる距離感に戸惑いつつも彼の目を見る。 『はじめまして。僕は久遠麗二、多分君と同じ歳だ。父さんの事も僕の事も家族と思ってくれていいさ』 『あ……』 彼は弾む様な口振りで続け、そのままキュッと指を絡めてくる。ニコッと笑う彼の笑顔に、ドキッと心臓が鳴ったのを覚える。胸の鼓動がトクン、トクン、と程良いリズムで刻み始める。まるで止まっていた時間がゆっくり進む様な感覚だ。 『君の名前は?』 その瞬間、ぶわっ…と胸の内に何かが溢れるのを感じる。目の前の彼に手を握られた途端、多幸感で満たされていった身体。この瞬間、僕はまるで導かれる様に、この「運命」と出逢った。
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