彼氏くんと彼女ちゃんの話 6

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もうすぐハロウィンを向かえるという時分。 秋も深まり、日暮れも早い。 二学期中間考査も終わり、部活に思い切り勤しむ日々、そんな中の帰り道。 今日も吹奏楽部のあいつと待ち合わせして、一緒に下校していた。 あいつとは幼馴染から彼女に昇格した関係で、付き合い始めてから……バレンタインからだから、八ヶ月ちょっとか。 付き合う前から『お向かいさん』というご近所付き合いがあったので、正直新鮮味は特にはない。 別に新鮮味を求めてこいつと一緒にいる訳でもないし。 「因果応報っていうか……頑張れば結果はついてくるっていうか……」 今日もまた、なにやら不思議なことを語り出した。 これだ。 こいつといると、飽きない。 面白い。 たまに面倒だけど。 「なんだよ?」 「ん、あのね。 嘘よね、そういう綺麗事。 なんだかんだって結局は、持って生まれた才能とか、授かったものって……あると思うのね。 それが悪いって訳じゃないんだけど……なんというかこう、天井を感じたっていうか、努力の限界っていうか、ああ無情というか……」 ブスっと膨れた顔をしている。 笑っていれば、それなりに可愛い顔をしているのに勿体ない。 なに、今聞いた情報のみで、自分に相槌をうてと? そんな殺生な。 「ん―――……? 楽器のパートでソロが貰えなかった、とか?」 「……傷口抉らないで。 それもある」 えぇえ、結構適当に言ったけど……当たってたのか。 すまん、そりゃ失礼。 ん、まだある……? 「あぁ! 中間が思った以上にやばかったんだろ。 今回の数学、平均かなり低かったらしいぞ。 俺んとこ、テスト返す時に先生が嘆いてたわ」 「……抉る上に塩まで塗ってくるよね……それも大いにある。 つーかむしろ、今回は英語……あと地理……もう本当、どうしよう……」 まだ中間なんだから、期末にまた頑張ればいいじゃないか。 そういう問題でもないけど、何も対策しないで放置するよりかはずっといいはずだ。 というか、それも、ということはまだ何かあるのか……!
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