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彼はうぅむ、と考え込んでくれているようだ。 いや、そんな何があったからどうこう、と具体的な話をしたい訳ではなかったんだけど……。
男は黙ってサッポ○ビール、じゃなくって、話を聞け! ……なーにー、やっちまったなぁ!
「頑張ったら頑張った分だけ報われなかったら、頑張り甲斐がないと思うんだー……結果、やる気がしぼんでいっちゃう」
あくまで一般論で、同意して欲しかっただけ、なんだけど。
「……まあ、俺も部活してっから。 練習頑張っててさ、かなり上達したつもりだったのに、え、やっぱ先輩がレギュラー? 卒業なんだから仕方ない、年功序列? ……みたいなのは感じたこと、あるけどな」
おぉう、なにそれ、そんな事があったのか。 え、なんでそれ私に言わないの? 話題にするほどでもないことなの? いやいや、結構悔しくない……?
思わず彼のほうを見る。 辺りが暗くなり始めているから、彼の顔は若干見えにくい。
「ん―――……中間と部活についてだけしか言えないけど。
お前のこったから、それなりに真面目に勉強してたんだろ。 テスト一週間前期間の夜おっそい時間に、RINEのスタンプ飛ばしてきたことあるもんな。『がんばってる?』みたいなやつ。
部活だって、話を聞く上ではだけどお前が頑張ってることは、俺には伝わってるけど?
結果がついてきたほうがいいことは勿論だけど、だからってお前がだらけてた訳じゃないことを、俺は知ってる」
「……―――!」
これこれ! これですわ……! この彼氏くんってば、絶対狡いと思うんです! このイケメンスキルを発動されると、なんかもう胸がドキドキしてきて、黙り込むしかないんですけど……!
暗くて見えないけど、絶対この人、今、微笑みモード全開だから! もう~!
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