甘い時間を君に

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「茉夏、ちょっと食べ過ぎだぞ。大丈夫か?」 「今日は好きなだけ食べて良いって京が言ったじゃん」 「それにしても…」 高校に入学してから憧れていた眞入先輩に彼女が出来た。 ずっと恋愛相談をしていた仲良しの京に報告したらいつものファミレスで失恋パーティーを開いてくれた。 「あ〜あ告白する前に失恋しちゃった。」 「そうだな。傍から見てて茉夏全然アプローチしてなかったし、先輩も茉夏に好かれてるの絶対気付いて無いと思うよ。」 京の言う通りアプローチは全然出来なかった。 私が出来た事と言えば、先輩に挨拶するくらいで、手作りクッキーを持って行ったのに渡せなくて京に食べてもらったし、京と一緒に書いた先輩への手紙も渡せなくて結局京が持って帰ってくれた。 「茉夏が先輩に書いた“好きです”って手紙、先輩じゃなくて俺が持ってるしね。」 「えっ、あれ捨ててないの?!」 ちょうど先輩の誕生日に合わせて生まれて初めて書いたラブレター。 前日まで京も一緒に考えてくれたけど、先輩が一人きりになるタイミングが無かったとか言う理由で結局は勇気が出ず渡す事が出来なかった。 そんな私を京はずっと待っていてくれてあの日一人で帰らずに済んだ。 私はいつも京に助けてもらっている。 「だから先輩に気持ち届く訳ないじゃん。だって茉夏の好きは俺がもらったんだから。」 「えっ…。」 ポンと私の頭を撫でながら優しく笑う京に私の胸はきゅっとなった。 「俺も手紙書いてみた。茉夏に。生まれて初めて書いたよ手紙なんて。」 「えっ、京が私に?!」 渡されたキレイな封筒を開けると、京の字で一言書いてあった。 ー好きですー 失恋した私を待っていたものは最高に甘い新たな恋でした。
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