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とっさに寝たフリをすると、その直後にパーカスが部屋の中に入ってきた。
「はて? 今騒がしかったような……? ローゼフ様、起きてますか?」
彼の呼び掛けにローゼフは、そこでわざとらしく起きたフリをした。
「う~ん……なんだ、もう朝か?」
「はい、起床のお時間でございますよ。さあ、起きて下さいローゼフ様」
パーカスはカーテンを開くと窓をあけた。彼は起き上がると、何もなかったような素振りをみせた。
「ローゼフ様、今さっきですが貴方様の部屋から騒ぐ声が聞こえたのですが、私の気のせいでしょうか?」
パーカスの質問に彼は一瞬冷や汗をかくと、そこで知らないフリをした。
「さあ、なんのことだか……。お前の聞き間違えじゃないのか?」
ローゼフはそう言って然り気無く答えた。パーカスは不思議そうに首を傾げると、彼に着替えの服を手渡した。パーカスは脱いだ寝間着を受けとるとお辞儀をして部屋から出て行った。彼は服に着替え終えるとパーカスが部屋から出て行ったのを確認した。そして慌ててしゃがむとベッドの下から鞄を取り出した。
「ピノ、大丈夫か……!?」
鞄を開けて心配そうに覗き込んだ。するとピノは怒っているのか無言で仏頂面になっていた。不機嫌な顔で頬っぺたをふくらますと彼を睨んで怒った。
「ひどいよひどいよ! ローゼフのばかぁーっ!! ボクを鞄の中に無理矢理押し込んでその上、鞄ごと蹴るなんて酷いよ…――!」
「すまん、私も慌てたのだ。でもお前にケガはなくて良かった」
彼が反省して謝るとピノは直ぐに抱きついた。
「もう……! 今度ボクを鞄の中に入れる時は優しくしてね!?」
ピノのその言葉にローゼフ頷いて答えた。
「ああ、約束する」
ローゼフは謝ると頬に優しくキスをした。彼に初めて頬にキスをされるとピノは嬉しそうに笑った。
「エヘヘー! わぁ~い!! ローゼフに頬っぺたにキスされちゃった! やった~!」
ピノは嬉しそうに喜んでハシャイだ。彼は朝から、ハプニングがあり色々と苦労したがピノの喜んだ笑顔を見ていると疲れが一気に吹き飛んだ。彼はこの先の事を考えると不安はまだあるけれども、ピノと一緒にいられることを彼自身も楽しんでいた。
今までずっと孤独だった彼にとって、自分のもとに突然あらわれたピノは、彼にとって唯一の救いであり生き甲斐だった。ピノが来てから彼の顔には再び明るい笑顔が戻った。ローゼフはピノを自分の膝の上に乗せると優しく話かけた。
「今はまだ難しいが、そのうち時間がなんとかしてくれる。だから今は私の部屋で大人しくしてくれ、いいな?」
「うん、ボク大人しくてるね?」
「良い子だ。それでこ私の人形だ」
「うん! ボク、ローゼフのこと大好き! だからもっとそばに居てもいい?」
「ああ、もちろんだとも。私もお前が大好きだ」
「ローゼフ…――!」
その言葉に嬉しくなると彼に無邪気に抱きついた。ローゼフは自然な気持ちになると、ピノを愛しそうに抱き締めた。
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