秘密の花園

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「私はその言葉を母上の愛だと感じている。母上が亡くなかったあとこの庭に一人で訪れた時に、私はふとたまに思うことがあるんだ。私は母上が望むような子になれたのかと…――」 「ローゼフ……」 「今ではその言葉が私の支えだ。でも、お前に会ってから私の中で何かが変わったんだ。前は一人でも平気だったが、今はお前がいなければ私は生きていけそうにもない。だから約束してくれピノ…――」  ピノの前で跪くと小さな肩に両手を乗せて、切ない瞳でジッと見つめた。 「どこにも行かないって私と約束してくれ。もう一人は沢山なんだ。両親を亡くして、お前もなくしたら、私はもう生きてはいけない。だから頼む…――!」  ローゼフが寂しそうな表情でその事を話すと、ピノは何も言わずに彼の頭を優しく撫でた。 「うん、どこにも行かない。ボクはローゼフのそばにずっといるよ。だからもう、悲しまなくてもいいよ」 「ピノ…――」  彼は人形の持つ純粋な優しさに心を打たれると、瞳から涙が溢れた。 「泣かないでローゼフ…――」 「すまない……」 「悲しいの?」 「いいや、違う。嬉しいんだ……。お前の優しさは、まるで私の凍った心を溶かすようだ。私はお前に会えて本当によかった。ピノ、愛してる。もう離さない――」  そう言って彼はピノを自分の腕の中に閉じ込めると、狂おしいくらいにギュッと強く抱き締めた。 「ローゼフ、そんなに抱き締めたらボク壊れちゃうよぉ…!」 「いいさ壊れても! お前が私の心をかき乱すんだ!愛してる…――!」 「ローゼフ、ボクもマスターに愛されて凄くね……」  ピノが言いかけた言葉をローゼフは唇でソッと塞いだ。柔らかい唇が自分の唇に触れると、ピノは頬を赤く染めて彼のキスを受け入れた。それは2人にとって初めてのキスだった。  口づけをかわすと、彼の優しさが全身に伝わった。そしてローゼフの深い愛を感じたピノは嬉しくて涙が自然に溢れた。彼との口づけは、それは永遠の愛を感じてしまう程の深い愛に満ちていた。  言葉にならない想いが駆け巡ると、2人はキツく抱き締めあった。そして、暫くすると2人は仲良く手を繋いで屋敷に帰って来た。ピノはローゼフから貰った蒼い薔薇を花瓶に一輪挿すと、それを彼と一緒に寄り添いながら静かに眺めた――。
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