決闘

2/3

67人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
彼は静かなる殺意を胸に秘めると、銃口をローゼフに向けて狙いを定めた。 「何を言っているオーランド!? 私はアーバンからこの子を譲り受けたのだ! 私がこの手で、彼を誕生させた! だからこの子は私のドールだ!」  彼がそう言い返すとオーランドは可笑しそうに肩をすくめて笑った。 「君は本当に愚かだな。アーバンから人形を譲り受けただと? フフフッ、なら本当のことを教えよう」  オーランドは薄笑いを浮かべながらローゼフの前で真実を語った。 「――これは最初から仕組まれていたのだよ。きみが愛玩ドールを手に入れたのも偶然じゃないのさ。私がアーバンから愛玩ドールを手に入れた時点でその子は私の人形だった。しかし、愛玩ドールは本来そうそうに見れる物ではない。ましてや、幻の人形と呼ばれていたものだ。だから私はその確証が欲しかったのだ。その子が愛玩ドールである証拠をな!」  彼がそう言って話すと、ピノはローゼフの腕の中で酷く怯えた。 「……なら、そんなに欲しかったら貴様が自分の手で確かめれば良かったんだ!」 『うるさい黙れっ!!』  オーランドは頭がカッとなると銃を撃った。弾丸はローゼフの頬を切りつけるようにかすめた。頬からは赤い血が流れた。 「ローゼフ…!? ローゼフ血が…――!」 「ッ…! 私は大丈夫だ……!」  彼に向かって銃を撃つとオーランドは感情的になりながら怒りに震えた。そして、真実を語った。 「何も知らない無知なお前に私が教えてやる。愛玩ドールは一度しか誕生させれないのだ。失敗すれば、次に魂の儀式が出来るのは100年後になる! いくら私でもそんなに長くは生きてはいけまいさ。それに確めるだけで気にくわないのが出来てしまえば、それこそ意味がない。私は自分が描く完璧な愛玩ドールが欲しいだけなんだよ…! 私だけを心から愛し、私だけに話しかけ、私だけを見つめる、私だけの愛玩ドールだ!」  彼が事実を話すとローゼフは激しい怒りに震えた。 「なんて人だ…――! 貴方という人は最低だ…! そんな事のために私を利用したと言うのか……!?」 「フン、なんとでも言うが良いさ小僧! 私は愛玩ドールを手にいれる為なら、悪魔にこの魂を売っても惜しくなどない!」  オーランドは彼にそう話すと本性を剥き出した。 「お前に私の何がわかるというのだ。私は人形偏愛者として長年ずっと生きてきた。お前にその苦しみや、辛さが解るか? 周囲からは私は変わり者扱いされて蔑まされてきた。それがどんなに屈辱的な事か貴様にはわからんだろうな、ローゼフ…――!」  彼は激しい怒りを燃やしながら、自身の辛い過去を打ち明けた。 「愚かな貴様は、私が仕組んだ筋書にまんまと踊らされたのさ! 奴から人形を受け取り、お前はその子を誕生させた! そして何も知らずにその子を愛し、今ではその子が自分のモノだと勘違いしているのだ! これ以上に滑稽なことはない!」  オーランドはそう言って話すと可笑しそうに高笑いした。2人は彼の狂気を前に衝撃を受けて戸惑った。 「お前にとっては不利益だが、私にとっては大成果だった。何も知らないお前がその子を誕生させたことによってその子が正真正銘の愛玩ドールであることがわかったからな。君が舞踏会でその子を見せてくれた時は正直驚いたよ、私も愛玩ドールは初めてみるからな――!」  ローゼフはオーランドの話を聞くと質問した。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加