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激情
「ふん、余興はここまでだ…――! さあ、そろそろフィナーレとしようか!?」
彼はそう話すと再び銃口を2人に向けた。
「さあ、ここに来いっ!! 出なければ今ここでお前の可愛いドールを壊してやる!」
オーランドの本気の声に、逆らうとピノが危ないと感じた彼は仕方なく従うことにした。足場の悪い所に彼を立たせると、銃口を向けたままピノを降ろせと命じた。彼が仕方なくピノを下に降ろすと次はその子をこっちに越させろと命令した。
オーランドがますます正気を失っていることを心の中で確信すると彼が何をするかわからないのでピノに命令をした。ローゼフはピノを下に降ろすと、地面に片方の膝をついて屈んで話しかけた。
「いいかピノ、よく聞きなさい。彼のもとに行くのだ――」
「いやだ! いやだいやだ! 離れたくない! いやだよぉ!!」
ピノが泣いてぐずるとローゼフは頭を優しく撫でて宥めた。
「いいからお行きなさい。私は大丈夫だから…――」
ピノは泣き止むとベソベソしながら、彼のもとから離れた。
『さあ、来い!』
オーランドは無理矢理ピノの手を掴むと自分のもとに強引に引き寄せた。
「キャアアアッ!!」
「やめろオーランド! ピノに乱暴するなっ!!」
「フン、まだ自分の立場がわかってないな! 今ではお前の命も、この子の命も、私の手の中にあることを忘れたか? それともその足場の悪い所でダンスでもしてみるか? あの晩ローザンヌ家の娘とダンスしてたようにな――!」
彼はそう言って話すとローゼフの足下の近くを銃で一発撃ち鳴らした。ますます卑劣な手口は恐ろしい程の醜悪に満ちていた。ピノは泣き叫ぶと必死に助けを求めた。
「おじさんやめてよ、ローゼフを殺さないで――!」
「おやおや、こんな時でも美しい思いやりとやらか?こんな時にたいしたドールだな。自分の命も危ないと言うのに――」
彼はそう言うとピノの頭に銃口を向けた。
『やめろオーランド! やめてくれ、頼むっ!!』
「ますますお前達にはヘドが出そうだ! さあ、それでその子を殺せ!」
オーランドは彼の足下に銀のナイフを投げつけた。
「私にピノを殺せだと!? 貴様、それでも同じ人間か! ピノは…――!」
「この子がなんだ? この子は人間ではなく人形だ。何を勘違いしている? 一緒に居すぎて人間と人形の見分けの区別もつかなくなったのか、バカめ!」
冷酷な顔でそう言い放つとローゼフは今まで以上の激しい怒りに燃えた。
「ああ、そうだこいつは人形だ。ただ生きてるだけの偽物にしか過ぎないだけだ――!」
オーランドはそう言うと、いきなり足でピノを後ろから蹴った。
「きゃっ!!」
そして地面に倒れたピノの背中を足でおもいっきり踏みつけた。
『あぁあああああん! いたいよぉっ!!』
「ピノォッ!!」
「ふん、貴様に似て小癪な人形だ!」
彼はピノをまるで物のように踏みつけた。そこには彼の歪んだ人格しかなかった。オーランドは泣き叫ぶピノを容赦なく足で踏みつけたのだった。
「勘違いするなよ、小僧。お前に愛玩ドールをあげたつもりはない! ただ貸しただけだ! だから返して貰うだけだ! それに夢は十分みただろ。孤独なお前はこの子に救われた。だからそろそろ良い頃だろ? 今なら綺麗な思い出だけをくれやる。だが、私に歯向かえばこの子は私がジャンクにしてやるまでだ!!」
彼の狂気は余りにも深く。そして、身の毛もよだつような恐怖をローゼフは感じた。
「ギャーギャーうるさいヤツだな。足を撃てば少しは大人しくなるのか?」
彼はそう言うと銃の引き金を引いた。
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