黒幕

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黒幕

 銃口から放たれた銃弾はそのままオーランドの体を一瞬にして撃ち抜いた。そして、彼の体から流れ出た赤い血が地面におびただしい程の鮮血に染めあげた。 「なっ、何故だ…!? アーバン貴様っ……!!」  銃弾の前で倒れ込むと右胸をおさえて、苦しそうな表情を浮かべた。 「オーランド!」  ローゼフは咄嗟に彼の方に目を向けた。オーランドは銃で右胸を撃たれていて、あからさま重症の様子だった。 「アーバン、お前…――!?」  ローゼフはアーバンの豹変ぶりに我が目を疑った。そして、僅かに怒りで声を震わせた。アーバンは銃で躊躇いもなくオーランドを撃つと、態度を一気に豹変させた。 「くくくっ、ホント無様ですね。2人も揃って愛玩ドールに躍らされてお互いに激しく憎しみ合って怒りをぶつけ合う様はこっちは見てて楽しかったですよ。たかが人形ごときでそんなに熱くなって、本当に滑稽で貴方達には拍手をおくりたい気分です。オーランド公爵、貴方に話した話しは嘘です。ああ、嘘と言っても事実にかわりませんがね……」  アーバンは自分の本性をみせた途端から銃を片手に開き直った態度をみせた。今の彼には罪悪感すらも、感じていない様子だった。 「ハァハァ…! おのれ、貴様謀ったな…――!? その人形は男から盗んだと聞いたのに貴様はそいつを殺したのか……!?」  オーランドは怒りに支配されながらも、彼に質問をぶつけた。アーバンは銃口で自分のこめかみを擦ると、ニヤリと笑いながら平然とした口調で話した。 「ええ、そうですよ。貴方、偉そうにしてるわりには気づくのが随分と遅いんですね。自分の手を汚さずに手に入れられるくらいなら、私だってあの男を殺すのに苦労しませんよ。それにさっき貴方は言ってましたよね? えーっと、たしか貴方は…。あっ、そうだ。こう言ってたのです」  アーバンはワザとらしく考え込むフリをすると彼に答えた。 「手に入れられるくらいなら悪魔に魂を売ってもいいとね! 実に素晴らしいじゃないですか、だから私もそれに素直に従っただけです。それなのに一体、何が悪いんですか?」 「おのれアーバン! よくもこの私をハメたな!」  オーランドは唇を噛み締めながら、怒りに震えた。 「まったく人聞きの悪い言い方はお止め下さい。私は単にもっと良い方法を思いついただけです。だから、貴方はもう必要ないんですよ。そう、このガラクタの人形みたいにね――!」  アーバンは悠然と話すと、オーランドの可愛がっていた少女の人形を後ろから足で椅子ごと蹴り飛ばした。そして、少女の人形は車椅子から落ちると地面に横たわった。 「ホッホッホッ、実に気分がいいですね。最高です。人が大事にしているものを足で踏みにじる事が、こんなにも楽しいとは思いませんでしたよ。いいですね、貴方のその間抜けな顔なんてとくに。大事なものを手にかけられてショックで言葉もでないって感じで見てて楽しいです。貴方だって彼の大切にしている人形を足で踏みつけたでしょ? そう、丁度こんな風にね…――」  ニヤリと笑うと彼の目の前で少女の人形を足でおもいっきり踏みつけた。そして、人形の顔を足で何度も踏みつけると彼は見下しながらそこで悠長に話した。
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