真実の愛、そして永遠

2/7

67人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
「ああ、最後に良いことを教えてあげましょう。貴方のご両親は――」  アーバンはそこで呟くと目の前で笑った。彼が制止したのも関わらずアーバンは両手を広げると時計台の塔の上から自ら身を投げて命を絶った。 「なんて最後まで卑怯な男なんだ、クソッ…!」  ローゼフは怒りに拳を震わすと自分の唇を噛み締めながら悔しさを込み上げた。ピノは、息絶え絶えになりながら彼の名前を呼んだ。ローゼフはハッとなると急いで傍に駆け寄った。 「ピノ大丈夫か……!?」 「ハァハァ…ロ、ローゼフ…もう終わったの…?」 「ああ、終わった。終わったとも…――」  彼は悲しげな表情でそう話した。 「そう…よかった――」  ピノは横たわった地面の上で、ホッと安心した表情を見せた。 「さあ、帰ろう…。一緒に……」  ローゼフは胸の奥が押し潰される程の悲しみに襲われると、そこで言葉を詰まらせて沈黙した。 どうみても助からないのは一目瞭然だった。地面には、少年が流した血が流れ出ていた。どうすることも出来ない無力な自分に、彼はただ溢れる涙を堪えることしか出来なかった。ローゼフは心配させないように気丈に振る舞うと、両手でピノを抱き上げようとした。するとピノが彼の腕の袖口を掴んだ。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加