真実の愛、そして永遠

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「ローゼフ、ボクも愛されて幸せだったよ――」  ピノはそう言ってニコリと微笑んだ。 「お前が話しかけるたびに私は嬉しかった。愛らしい瞳で私だけを見つめてくる。それだけでも、私は心が満たされていた。お前がいなければ私は生きてはいけない……!」 彼は心が張り裂けそうになると、ピノの体を両手で抱き締めて涙を流した。ピノは自分の顔に涙が溢れ落ちてくると、手を伸ばして彼の顔にそっと触れた。 「ローゼフ悲しいの……?」 「ああ、そうだ…! お前が私を悲しませているのだ……! 私の心が痛くて今にも張り裂けそうなのはお前のせいだ……!」 「ローゼフ……!」  ピノは悲しんでいる彼の顔を優しく撫でると、一言「ごめんなさい」と言って両目から涙を溢した。 「ボクね、幸せだったよ……。ローゼフに会えて愛をもらってすごく幸せだった……」 「ピノ……!?」 「だからボクが消えても、もう泣かないで……。ローゼフが悲しんだらボクも悲しいから――」 「ピノ駄目だ…! そんなこと言うなピノ…!」 「ボク忘れないよローゼフのこと…。たとえまた愛玩ドールとして生まれ変わっても、きっと忘れない……。ローゼフに貰った名前も、ローゼフと一緒に歩いたお庭のことも、ボクと手を繋いでくれたことも、ボクに優しく笑ってくれたことも、ボクの頭を優しく撫でてくれたことも、抱き締めてくれたことも全部忘れない…――」 「駄目だ……! いくな、ピノッ……!」 「大好き……ローゼ……」 「ピノ…!? おい、しっかりしろ! 目をあけるんだ! 私を見ろ! 死んではダメだ……! 私を置いて逝くな……!」  ローゼフは取り乱したようにピノを抱き締めると、体を揺すって声をかけた。でも、ピノが彼の声に返事をすることはなかった。小さな手が地面に下がると少年は静かに息をひきとった。そして瞼を閉じたまま永遠の深い眠りについた――。  ひとつの小さな命が終わりを迎えると、少年の頬にひとすじの涙が溢れ落ちた。ローゼフはピノを抱き締めたままその場で泣き崩れた。そして、少年の体からは小さな魂が離れていった。 ローゼフは取り乱したように泣き叫けぶと、ピノを強く腕の中にぎゅっと抱き締めた。そして、心がバラバラにちぎれていくのを感じた。 「逝くな! 逝かないでくれピノ…! 私を一人にするな…! 私はもう一人ぼっちは沢山だ…! 愛してるピノ、目を覚ませぇーっ!!」  彼は絶望に打ちのめされると泣き続けた。 「主よ! 貴方は何故わたしから愛する両親を奪っておきながら、また私から愛する者を奪おうとするのですか…!? この子の命が欲しいなら私の命をもっていくがいい! その代わりこの子の魂を返してくれ! 私には、この子しかいないのだ! 神よ答えろ! 答えてくれぇーっ!!」  ローゼフは空に向かって一心に願った。すると突然、少年の体は光を放った。 「こ、これは……!?」 突然の光を目の前に困惑した。しかしその輝きはピノを誕生させた時のと同じだった。そしてすぐ近くで何者かの声が聞こえた。 強く願え、そうすれば愛は再び奇跡を呼び起こすであろう。その愛が真実なら、再び魂は目覚める――。  不思議な声が自分の傍から離れて行くと、ローゼフはその言葉に従った。彼はあの時と同じように心の中で強く願った。  目覚めてくれピノ……!  お前は私の大切なドールだ……!  愛してる……!  どうか私のそばにいてくれ……!  彼が心の中で一心に願うと、光はさらに輝きを放った。そして、少年の体から強い光りが放たれると、その輝きが余りにも強すぎてそこで意識を失って倒れた。そして、次に目覚めるとローゼフは自分の屋敷のベッドの上にいた――。
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