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K君と目が合うと、オジサンはにこりと笑い、ぶんぶんと手を振ってきた。
窓越しだから声は聞こえないのだが、何か言っているのは口の動きで分かる。
「先生。あれ、だれ?」
不思議に思ったK君がC先生に尋ねたが、先生はどこかぼんやりとした顔で、
「お迎えだよ」
とだけ答えた。いつもは明るくて元気なC先生が、そのときは暗い、どんよりとした空気を纏っているように感じた。
「知らないよ、あんなオジサン」
「何言ってるの。早く準備しなきゃ」
そう言いながら、C先生は強引にブロックを片付け、K君の荷物をまとめてしまった。
そして抵抗するK君の腕を引き、玄関まで引っ張っていく。
玄関では、あのオジサンが笑顔で待っていた。
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