保育園のお迎え

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「おうK!待ってたで」  ガラガラと濁った声のオジサン。声も、K君には聞き覚えのないものだ。 「オジサン、だれ?」 「オレは、おばあちゃんの友だちや。おばあちゃん、用事で迎えにこれんから、オジサンが代わりに来たんや」  オジサンは豪快な口調でそう言うと、K君に手を差し出してきた。  けれど、やっぱり変だ。  K君が住んでいたのは東北地方の郊外で、オジサンのような関西弁を喋る人など見たことがない。  それにオジサンは、おばあちゃんとは明らかに年が離れている。  友だちと言われても、ピンとこない。 「知らない。うそだ!」  K君が逃げようと身を翻すと、その細い腕が力強く掴まれた。あまりの痛みと恐怖に、身体が縮み上がる。 「おら、ワガママゆうてたらアカンがな!」 「いやだああ!!」  オジサンの声が低くなり、さらに怖くなったK君は力一杯叫んだ。  すると、 「何やってるのっ!!」  先ほどまでぼうっとしていたC先生が金切り声をあげて、K君からオジサンを引き離した。そしてK君を抱きしめ、きっとオジサンを睨む。 「出て行きなさい!人を呼びますよ!」 「はあ、アカンかったか」  C先生に凄まれたオジサンはため息をつくと、苦笑いしてその場を立ち去ったという。
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