みよちゃん

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「授業参観かあ…」 「親来るとか最悪ゥ」 「乙〜。あたしんとこ仕事で来ない〜」 「えー、いーなあ!!!」 友達と休日の学校にそわそわと、早めに朝の用意をしつつ、今日の授業参観について話す。 ふと、特に気にした風もなく教科書を取り出しているみよちゃんの方を見て普段のお迎えを思い出し、羨ましく思う。 「みよちゃんはいいなあ、かっこいいお父さんがいて〜」 ぽつりとつぶやく。 「そう?わたしのお父さん、別に普通だと思うよ~。てか、わたしのお父さんみたことあったっけ?」 やわらかく微笑まれ、後ろの席の男子がほう、と息をつくのがわかる。 「えー、うそお?!すごいかっこよさそうだもん!!」 遠くから見た感じでは。 「あはは、みよ~、こいつの得意の妄想だよ!」 「でもみよのお父さんなら確かに美形そうだなあ」 「わかりみー!!」 うんうんとほかの二人の友達も深くうなずく。 「え~、へへへ。てか今日宿題ないよね?わたし、持ってくるの忘れちゃったよ~…!」 「みよ珍しい~。ま、なんもないからだいじょーぶっしょ!!」 「よかった~」 そこから他愛のない会話が続き、やがて親たちがぞろぞろと入って来た。
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