ガラスの靴

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 お城の舞踏会で、王子様と踊った夜から二日後のこと。  シンデレラの暮らす家に王子様の従者が馬車でやってきた。  応対に出た継母に従者は、ガラスの靴を見せながらいった。 「この靴がぴったりと合う足を持った女性を探しているのだが、この家に思い当たる娘はいないか? 舞踏会で王子様と踊った娘が履いていた靴でな。その娘を探しておるのだ」  継母は思わず顔をほころばせた。 「おりますとも、おりますとも……」  そういって自分の娘たちに声をかけた。  やってきた娘たちは、従者の持っていたガラスの靴に足を入れてみたが、ぴったりと合うものは一人もいなかった。 「この家に若い女性はこれだけか?」  従者の問いに継母は首を縦に振った。 「そうでございます」  そこへ家中の掃除をしていたシンデレラがモップとバケツを持ってやってきた。  従者はシンデレラにもガラスの靴を試すようにいった。  継母は苦笑いしながらいった。 「シンデレラなんかが王子様と踊ったはずがありませんわ」  継母と娘たちが嘲笑う中、シンデレラはガラスの靴に足をそっと入れた。  靴はぴったりとフィットした。  従者はいった。
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