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「じゃあ、私講義あるのでまた後で!」
手を振って次の講義を受ける教室へ向かうミズキを見送って、僕たちも教室を出る。
昼休みが終わっていないけれど10分ほどで講義が始まる廊下は少しまだ賑やかで
「またな」
「うん、それじゃあお疲れ様」
ミズキに合わせて講義を取っている僕とは違い、午前で講義が終わるセイヤと昇降口で解散する。
自由科目だから席は決まっておらず、真ん中より後ろに自分の席を決めて座ればポケットでスマホが揺れて
【ヒナタくん、お昼食べたからって寝ちゃダメだよ(´・ω・`)】
可愛すぎるミズキに思わず笑みが溢れてしまった。
【大丈夫だよ。
ミズキこそ寝ないようにね】
本当にミズキと付き合えて幸せだと思う。
端正な顔立ちをしているセイヤとは違い、僕に告白してくれるのは一般家庭よりは少しばかり裕福であるからで、お金目当ての女の子が多かった。
確かに特に秀でたものがないから仕方なかったんだろうけれど、それでも僕はそんな女の子ばかりだと思っていたからミズキに出会えて嬉しい。
すでに両親にも紹介しているミズキと、気が早いかもしれないが結婚できたらと思ってしまうほどに。
「…早く講義が終わればいいのに」
チャイムと同時に吐き出した言葉は、僕の手の中で空気に溶け込んでいった。
「―…あっ、ン…ッ」
「バカ、人来るだろ?」
夢に見る未来がすでに壊れていることを、僕はまだ気付かない―…。
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