№2

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映画関係の仲間達に「主演になれる、夢を持つ若者に心当たりはあるか?」とメールしたところ、映画専門学校の同期だった本屋経営者、大山から「従業員の中に一人、訳アリだがよさそうな子がいる」と返事をもらった。 すぐ大山に電話する。 高野光、二十八歳 大山の本屋で働いて八年。性質は大人しくひ弱。 レジ、陳列、他のバイトのシフト管理、給与計算、発注、営業、書店の仕事のほぼ全てをこなしている。もうすでに店長の領域だ。 俺は大山にお願いした。 「ドキュメンタリーの撮影をすることを秘密にしたいんだ。自然な様子を撮影したい。何か偶然を装う形で、その高野君に出会うことはできないかな?」 盗撮でドキュメンタリーを作りたいということを、婉曲に伝えた。 「盗撮は犯罪だよ」 大山にストレートに指摘される。 「昔だって、犯罪すれすれで撮影してたじゃないか。やってみたいことをやらせて欲しい。素晴らしい表現ができる気がするんだ。話を戻すが、高野君の興味がある事、立ち寄る場所とか知らないか?」 赤羽はこんなことで諦めない。
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