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№3
「高野君は小説家を目指していて、Web小説サイトのコンテストに応募しているらしい。詳しくは分からないが、そのコンテストのお題が『怒る』らしい」
そんなサイトがあることを初めて知った。小説新人賞からデビューする以外にも道はあるのだ。
「高野君曰く、過去の出来事で怒りの感情が欠落したらしい。本屋の従業員に『怒るってどうですか?』と聞いて回っていたな」
大山の話で思いついた。
「高野君はおもしろいな。『怒る』を知りたいのか。俺は逆に怒らなくなりたいよ。そうだ、俺は『怒る』を教える道場を開くことにする。そしたらそこに高野君を連れてきてくれないか?」
赤羽は突拍子もない提案だと思いながら、大山に頼んだ。
「よし。できたぞ」
赤羽は金槌を持っている。道場の看板を付け終えたところだ。
瓦屋根に漆喰の壁、木戸の古民家風な日本家屋。
入口の横の看板には「怒宝山 亀田怒有道場」と大胆な筆字で記されていた。
この日本家屋は大山の死んだじいさんの家だ。
古くて汚い外観は、いかにも威厳があって道場にはうってつけだ。
女優のタマゴちゃん達との飲み会を交換条件に、渋る大山から貸してもらった。
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