宇宙人からの手紙

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          Ⅰ  拝啓  K君、君に初めて手紙を書くよ。唐突だけど、君はぼくが宇宙人だってことうすうす気付いていたよね。君は決してそのことを口には出さなかったけど、分かっていたよ、それが君の優しさだったってこと。そうじゃなくてもぼくはクラスの中で浮いていたし、ましてや宇宙人なんてことがバレたらどんなヒドイ目にあわされていたか。  まあ、その気になったら、いくらでも強力なビームを目から出す準備は出来ていたけど、そんなことやっちゃった日には多分ぼくはイエス・キリスト以来のヒドい迫害を受けることになっただろうし、理不尽な迫害にぼくの内なるプロテクターのネジがプチンプチンと外れたかもしれない。  君が居なかったらぼくは自分を抑えられていたかどうか自信がない。もしぼくの能力がこの世界に解き放たれたら、それはもう人間を殺傷するなんてレベルじゃなくて、多分、首相官邸で閣僚会議やらが緊急に開かれて、総理大臣の決断の元、自衛隊とかも出動するような大事になっていただろうね。
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