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………
…
ピンポーン
教えられたアパートの呼び鈴を鳴らす。
しかし、中に人の気配を感じない。
「…あ、今日平日じゃん」
「玲…あんた馬鹿なの?」
「う、うるさいな!」
「あんたに対する罵詈雑言尽きないわー。
言霊冥利に尽きるよほんと」
平日仕事してるなら
家にいないのは当たり前か。
そんなことにすら気がつけないなんて…
それだけ愛と会いたかったってことなんかな。
「…あら?玉井さんのお知り合いですか?」
「えっ?」
すると50代くらいのおばさんに声をかけられる。
玉井さん…あぁ、愛のことか。
「そうですけど…あなたは?」
「私、このアパートの大家です」
「あ、そうなんですね。
…不在みたいなんでまた出直します」
「え?何も聞いてないんですか?
玉井さんはつい2週間前…」
大家さんが悲しげな表情で事情を話始める。
「…っ!愛!」
その事実を聞いて…
俺は弾かれたように走り出した。
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