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………
…
あれから2週間。
日常は変わらず、普通の平日。
オフィスで仕事を進める。
1つだけ…変わったことを除いて…
「玲、あんた本当に仕事遅いわね」
「……」
「こりゃノロマって罵られるわ」
「……」
「遅い上に無能なんてどうしようもないわね」
あーもう、うるせぇ!!
ガタッ!
俺はお昼のオフィスで勢いよく立ち上がる。
そしてそのままトイレへ駆け込んだ。
………
…
「お前なんで会社までついてきてんだよ!」
「家にいても暇だし」
「ずっと後ろで罵倒してんじゃねーよ!」
「それが言霊の仕事だし。馬鹿なの?」
トイレの個室でアイと対峙して罵り合う。
あれからアイは俺に取り憑いて
四六時中罵倒してきた。
周りにアイは見えてないみたいで、
人前でこいつとやりあうことができない。
変な目で見られるから。
いや、ほんとノイローゼになるわ!
ブラック企業で鍛えられてなかったら
俺3日で死んでたぞ!
「てか愛の声で罵倒すんな!
言い返したくなる!」
「今のところ1度も勝ててないわよね」
「くっ!」
愛、昔から頭は良かったからな…。
アイはそれと同じ性格と頭の良さがあるので
口喧嘩しても大抵負けている。
愛の声してるせいで対抗心は湧くが、
この2週間の痴話喧嘩も勝てたことはない。
「……」
こんな感じのやり取りをアイが来てから毎日。
しかし、上京してほぼずっと1人だったため
罵り合うだけでも少し新鮮だった。
愛の面影はあるし、昔みたいで嬉しい。
なんとなく悪い気はしてなかった。
「なに笑ってんの?キモっ」
前言撤回。やっぱりこいついなくなれ。
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