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半妖の血清
「…天城が吸血鬼?」
「ざっくりと言えば吸血鬼という化け物、、もっと詳細を説明すれば単純な吸血鬼ではないわ」
美樹はベットで寝ている女性の横にある機械を調整しながら話をする
「僕にはよく分からないけど、天城は人間じゃないってことか?」
「そうね、人ではない」
美樹は敬太の顔色が明らかに挙動が変わり何か手応えを感じた
「天城は巧妙に今の姿でいるけど、数百年以上は生きている化け物、おかげで恐ろしいほどの巨万の富と財政を齎らしている割には、表に一切現れず隙がないまま消息を失っていました…、しかし手塚琴葉さんが現れてから…剛の守りの天城が直接世間に顔を出すなんて長い年月をまった甲斐があったけど…一筋縄では行かない」
美樹は彼女に使っている輸血パックを取り替えながら話を続ける
「天城に固執する理由って?」
敬太は切り返しで質問をする
「吸血鬼の中でも、天城は純血種と言われる吸血鬼の祖となる特殊な血を受け継いでいる、ここにいる半妖という半分だけ人で半分獣に関しては研究材料は所持しているけど、結局元となる純血種のサンプルがないと、研究自体が半分も解明はすることができない、、」
輸血パックとは別の薬剤を再度眠っている女性の腕に管を通す姿を敬太は近くにある椅子に腰掛けながら眺める
「天城は恐ろしいほど警戒心が強くかつ狡猾な化け物…、彼の過去を洗い出して年月をかけて調べ、一度だけ吸血鬼ではないのかという伝承…彼は500年以上も前、小国の王子で一晩で一つ王国を滅ぼし、犠牲になった国民や王宮の人間はその日のうちに、見えない誰かに命令されるように自ら焼死して跡形もなく死体を残さなかった…ただ一人を残して」
敬太はすぐベットの女性を見た
「その話自体、伝承じゃないのだろう?」
「そうよ、彼女の口から半分以上は話を聞いた…血肉を貪るだけじゃないのよ、この化け物は…」
美樹は一連の作業を終えると部屋にあるインターホンで看護師を呼び後の処理引き継がせた
カーテンを閉めると、別室の応接室に敬太を招き入れる
一つの戸棚から何本か注射器を取り出し応接間の机の上に置く
「これは…?」
敬太は応接室の長椅子に腰をかけると、。置かれた注射器を手に取る
「私が数十年前に開発した半妖の血清を別の染色体(真核細胞)と配列を組み替えた…より強固な血清、彼らと近しい能力が受け継がれるから唯一吸血鬼と戦える武器」
敬太は驚きを隠せない表情で美樹を見た
「化け物になってしまうのか?」
「純粋な半妖のように血が欲しくて理性を失い人を襲ったり仲間を増やすような感染源になったりはしない、至って冷静な人のまま…けれど長い持続効果は得られない…デメリットは効果は早く切れるから打ち続けるしか手立ては無い」
美樹がうっすら笑うと敬太は怪訝な顔で質問する
「…、この血清、、利用しているのか?」
「ええ、利用している、、私も軽く100歳は超えているわ、だから100年間は何事もないと保証はできる品物よ」
敬太は怖くて血清を机に戻す
「大切なガールフレンドは今はあの化け物の手中にいるのに、そのまま見てていいの?彼女の王子様でしょ?」
美樹は優しく彼の肩に手を置く
「それは分かっているよ、、くそっ」
「彼女を化け物から取り返したいなら、私に改めて協力しない?」
美樹は怪しい微笑みで語りかける
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