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古き血の気配
「協力については考えさせてもらう、、様子を見たい」
敬太は苦渋の選択だったが、今までの琴葉の不自然な行動を振り返ると考えられないことが多すぎだった
事故とはいえ、大型車に跳ねられたはずであれば、通常なら死ぬはずのところをかすり傷という点でも疑問が多すぎる
美月と琴葉の間で何か大きなことが起こっているというのはわかっていた
しかし、このまま彼女を奪い去られることだけは許して置けない
「気が向いていただいて助かるわ、アンプルについて必要になったら私の元に来るといいわ」
美樹は彼に予備のアンプルと名刺を渡すと、近くの電話で社員を呼び寄せ出口まで見送りをさせた
敬太は支給されたアンプルをポケットに入れると、そのまま自宅に戻る
「天城に琴ちゃんは渡さない、、彼女を取り戻せるのであれば、仮にあいつが化け物なら僕も化け物になってでも彼女を守りたい」
今度こそ、琴葉を取り戻す
何を賭けても命を賭けても惜しくはない
そして必ず事故前の彼女の笑顔を取り戻す
敬太は誓いを立てた
琴葉は記憶障害に襲われ、美月の腕の中で気を失ってしまった
「琴葉、家に戻ろう…体力が消費が激しいな、俺の血を分けて…」
彼女をそのまま抱え近くに停めてあった車に向かっている途中、異様な気配に襲われる
古き血の匂い
刺すような視線
美月の目が紅く光を放つ
音波のように彼は磁場を張り巡らせ怪しい視線の標的を探す
「この視線…半妖でもない」
美月は周りを見渡した
気を失っている琴葉に危害が加わらないように警戒に注力した
通行人は疎らだったが、彼から流れる視線の気配とは明らかに違う
美月は気配を消すように風上に移動する
一瞬空気が止まる
大型犬を連れた少女が通り過ぎようとした時、美月は少女のもったリードを手繰り寄せるh
少女は声を上げて地面に転がり慌てて逃げる
「そこか…」
気配を感じた瞬間を狙い、標的の後ろを取ったが同時に絶句した
銀色の眼差しに白銀の毛並み
美月もその瞳に捉えられると顔が強張る
「……伝承では少し聞いていたがまさか自ら姿を見せるとは驚きだ、もっと敬意を払った方がよろしいですか?」
美月は少し見縊っていたと嘆くと同時に血が騒ぐ感覚も感じる
美月以外にも人を超越した存在
「白狼の王と呼ばれ讃えられ人々に恐れられ神話に出てくる存在だと自負してきた古代種…、、λυκάνθρωπος《リュカントロポス》よ」
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