悪魔との契約

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悪魔との契約

意識がうすぼんやりと戻り 目を開くとそこは病院のベットの上だった 「琴葉…」 母親が心配そうな顔を覗かせている 琴葉は目を見開いて、ベットから起き上がると狂ったように体をくまなく確認する 「私、無事なの?」 目を丸くしたまま顔の表情が歪めた …たしか、、私車に跳ねられ臨死体験をしたような… 頭の中が錯乱する 「事故から3日は眠ったままで、強く頭を打ったからだと主治医の先生はおっしゃっていたわ」 母の心配そうな声は琴葉の胸を痛める 母の方に視線を移した後ろに見覚えのある男性が視界が止まる 296475ac-04c1-4370-a4dc-9d916bb10bfd薄グレーの青みかかった瞳 シックなスーツを着ている 琴葉が彼に視線を移すと母は彼女に笑いかけて説明をした 「この方は天城美月さんよ、あなたが事故現場から救いだして、ずっと看病までしていただて…」 母が微笑みながら琴葉に紹介すると彼にお辞儀をする 彼も軽く会釈をする 「美月さんの御父様が経営グループの傘下の病院で…もうすぐに入院手続きまでしていただいたから…もう命も救っていただいた上に特別室なんて、もう、、アハ 凄いわ」 母は美月を見つめ恋した少女のような顔で頬を赤らめた …なんでお母さんが照れているのがわからない状況… 琴葉は母に対してため息をつく 「お母さん、琴葉が目覚めたことをお父さんに連絡をしないといけないから表に出るわ」 母は満面の笑みで病室を出る間際、琴葉の耳元に囁きかける 「お母さんは美月さん…凄く素敵だと思うの」 美月にお辞儀しながら「ごゆっくり」と言葉を添える うっとりしながら深いため息を付き、母は病室を出る 素敵?!どういうこと?! 確かに彼はビジュアルも社会的にも想像以上に素敵な予感はするが、、あんな夢の中の出来事を思い出すと琴葉は震える複雑な気持ちが駆け巡る 病室の扉が閉まると同時に美月は琴葉のベットに座る 美月は琴葉の頬に優しく触れる 「色々説明しないといけないが…」 薄グレーの青みかかった瞳がほんのり紅い色に映る 「あの時の悪魔?」 瞬時に美月から体を離れた 「少々強引なやり方であなたの命を復活させてしまった」 「どういうこと…なの?」 「直に言えば、君の肉体はあのままであればただの死体。だが俺の血の力で復活をさせているだけの話、、君も体験したろ?あの血の契約(儀式)を。」 「血の契約?」 「そうだ、契約、つまり俺がお前を生かす契約を結んだことだ、俺たちは素晴らしく利害が一致した仲だってことだ」 琴葉の腰を強引に抱く 「本当はもっと段取りを考えてお前を俺の物にする予定で進めたかったが、急を要した事態だから無理にすすめてしまった。申し訳ないとおもっている」 美月が暗い顔すると、琴葉は戸惑う 「…謝るって、、何か大きな副作用があるの?それに突然の俺の物的な発言?順を追って説明が欲しい…」 突っ込みどころ満載で琴葉の焦る顔を打ち消すように、美月は彼女の手を握り甲にキスをする 「悪魔(俺)の血は甘くておいしかっただろ?」 美月は舌なめずりをする 琴葉の喉があの甘美な味を忘れるはずもなく、目が虚ろになる 「お前にキスして触れられる…この時をどれだけ待ったか…」 食い入るように琴葉を見つめる 血の味を思い出すだけで琴葉も気持ちより体が熱るくらい美月の熱い眼差しから逃れることができなかった 「琴ちゃん!!」 病室の扉が乱暴に開く 突然の来訪者に琴葉は正気に戻る 「け、敬太」 腰を抱いている美月に怒りを隠せない敬太 「お前一体誰なんだよ」 敬太は大きな声で美月に向かって叫ぶ 「……」 敬太の牽制を基ともしない美月の顔から薄笑いを浮かべる 美月の殺意を感じる禍々しいオーラが琴葉には強く感じていた …敬太が危ない 「敬太!か、、彼はね。あの…」 琴葉は咄嗟に美月の腰の手を振り払う その場を取り持とうとする琴葉と敬太の手が今にも殴り赤りそうな拳と憎悪を感じる表情で歪ませていた
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