悪魔と登校

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悪魔と登校

…数日前 「ママ、天城さんから両親の了解は取っているって言われて…どういうことなの?」 美月が病室を出た頃を見計らって、母親に連絡をする 「パパの会社で社長直属の接待で突然私も呼ばれて…美月さんを紹介されたの、、その時に彼の御父様から娘さんと将来お見合いをさせていただきたいといわれたのよ」 受話器から母は困った声色を出す 「会社のイベントで幼い頃の琴葉を見て、美月さんが強く懇願したからって押されてしまって…会社の社長だからのお願いで断り切れなかったの、、当時は口約束程度だったから今のタイミングで実現するなんて…未だに覚えているなんてびっくりしたのよ、琴葉の入院をする段階で社長も駆けつけて数十年前の約束を持ち出してくるなんてね… でも、美月さんは入院した時の献身的対応といい……それにイケメン御曹司だから非の打ち所なしな状態だから断る理由が見当たらなかったわ、こういう形で琴葉と離れて生活はママも辛い、あとお父さんも色々会社の立場もあるから責めないでね」 「ママは美月さんはこの状況どう思っているの?」 「ママは…美月さんの顔もそうだけど、政略的なものを感じる切迫感…き嫌いじゃない、うふん♪」 な、なんて親なの?!(少なからず娘がそんな状況を楽しんでいるのか!!!) プチ。 電話を切ると琴葉はベットに携帯電話を置く 「おはよう」 「敬太、、」 校門前に敬太が立って琴葉を待ち伏せていた 「琴ちゃんが家にいないから、お母さんに聞いたら今日は登校すると聞いてずっと待っていたんだよ。あれから病院に行こうとしたんだけど…天城って野郎に邪魔されてなかなか会えなかった、携帯も繋がらないし…あの事故以来連絡が全然取れなくて心配した」 敬太の真剣な態度に琴葉は後ろめたさを感じてしまう 政略的な流れとはいえ、美月を裏切るわけにもいかない けれど敬太を巻き込むわけにいかない 「ごめんなさい。お見舞いに来てくれたのに…気が付かなくて」 この状況で天城さんと同棲しているなんて言ったら、ややこしい事になるのも困る…ここは思い静かに話を逸らそう。 「琴!!」 遠くから一人の小柄が琴葉にかけより勢いよく抱き着いた 「もう!全然メールしたのに連絡付かないし!お見舞いに行ったら天城っていうイケメンに邪魔されて全然会えなくて心配したよ!」 「ほんと!ごめん玲子」 高校入学以来の親友の玲子 ノリが良くてどことなくお姉さん風がある世話焼きな性格 「それであのイケメンは一体誰なの?」 …早速、ぶっこんできたなー 琴葉は渋い顔になる 「あー、あの人ね…し、親戚の一人」 やばーい。即効ばれそうな噓をついてしまった 「そうなの?彼氏とかじゃないんだ、なんだ残念!まあ敬太もいるしね!」 玲子は敬太の肩を叩いて笑った 「ちょっと玲子!」 敬太がちょっと顔を赤らめる 琴葉は目のやり場に困る そんな二人を見ていじわるっぽく笑うと玲子は適当に話を切り替えた 授業が始まるベルの音 生徒は席に座り、担任の先生が教室の扉を開け 一人の男子生徒を招き入れる 途端、教室内の女子生徒は歓喜な声をあげる 男子生徒はひたすらに女子の感きわまる声に戸惑っていた 教壇の前まで来ると軽く会釈 黒髪に透き通るような青みかかったグレー色 女子の甘い歓声が止まることがない そして彼は琴葉の目線が止まる 「まって…天城さんって高校生だったのぉ?(経営者…じゃないのか?!)」 琴葉は小声でつぶやいてしまった 「イケメン…」 玲子が驚きを隠せない顔をしているのが視界に入る 「天城美月です。よろしくおねがいします」 美月が頭を下げると、さらに女子生徒たちが歓喜を上げる 更に琴葉の背筋に悪寒が走り震え上がらせた 敬太のどんな顔をしているのかなんて怖くて視線に入れることができなかった 先生は美月を琴葉の後ろの席に座るように勧める 美月はゆっくり琴葉に近づく 琴葉に微笑むと後ろの席に着席する パニックで瞬きもできないくらいで顔は俯いたまま 琴葉はカバンから携帯を取り出すと高速でタイピングを繰り広げる 休み時間になったと同時に琴葉はダッシュで教室を出る
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