幼馴染

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幼馴染

琴葉の後を追うように美月も屋上に着く 「高校に来るなんて私聞いていない」 涙ぐむ琴葉に美月は彼女の頬を撫でるように触る 「転校するとか言ったら、受け入れてくれるのか?」 「そ…それは、、」 身じろぎする琴葉に、彼女の制服姿を眺めながら美月はため息をつく 「…せめて同棲していることは内緒にしておいて、学校に居ずらくなる」 「わかった、できる限り伏せることにするよ、その代わり少しでも男の影があれば…即花嫁として俺のモノにするから」 美月の透き通るような青みかかったグレー色がほのかに紅い色に見える 「お前を一生俺の下僕となる半妖することだってできる」 彼は獲物を捕らえた獣のような眼差しで琴葉を見る 「俺はすぐにでも花嫁として迎えたいと思っている、気持ち次第では強制的にね。これでも抑えるのに必死なんだよ?悪魔としては?」 美月の綺麗な紅い色が甘美を匂わせる血の色の味を思い出し、彼から目が離せなくなる 琴葉の目線ががぼんやりし、釘付けになってしまう 「もう、俺に捕まった時点で琴葉には選択権はないけどな」 美月は琴葉にキスをする 後ろから屋上の扉が開く音がする 「敬…敬太」 「琴ちゃん、、」 敬太は琴葉の腕を掴む手をすぐ美月は振りほどく 戸惑う琴葉を美月は後ろから抱きしめる 「俺の女に何か用か?」 「天城さん!敬太は私の友達だから傷つけないで」 琴葉は怯えた顔で美月を見る 美月は大きくため息をついて、琴葉の頭をなでる 「わかったわかった。今日はこのくらいにしておくが…お前に近寄る男には容赦しない」 「容赦しない」の吐き捨てるような言葉に酷く脅されているようで嫌悪感を抱く 「ごめんね、敬太」 俯く琴葉を敬太は悲しそうな顔で見つめる 「あの事故の日、誘ったこと後悔してる…誘わなきゃ良かった」 嘆く敬太の顔を琴葉はまともに見れなかった 「敬太!そういうこと言わないで」 泣きそうな琴葉の頭を敬太は辛そうな顔をしながらも彼女を労るように撫でながら慰める 「琴ちゃんと離れていた時間が長かったから、色々聞きたいことがあるよ…」 「うん」 敬太といると何故か安心できる 心配させている横顔を見て思わず涙がこぼれる 「琴ちゃんのこともっと積極的にサポートできなくて」 敬太は胸に閊えたような声で唇を噛む 突然現れた美月の存在が敬太の心を蝕んでいる でも、もっと戸惑って涙がこぼれてている琴葉を責めることができない 「もっと、、僕に頼ってもらいたかった」 敬太の優しさは小さいころから知っていた 故に、敬太に淡い思いを募られてもどこか掴めず、でもどうすることもできなかったのが現実だった 「そろそろ授業が始まるから戻らないと…」 背を向けようとしたときに、敬太は琴葉の肩に手をかける 「琴ちゃん、今日家まで送っていい?」 一瞬、琴葉の顔が凍り付く 「…あ、あの今日はちょっと親の家に寄らないといけなくて…」 とっさの嘘に冷や汗をかく …親の家ってなんだ……言い訳になっているはずじゃない!!! 「そうか。じゃあ、…お、親の家?」 「あ、もう授業始まるから急いで!!」 琴葉は焦って教室に戻る 敬太は納得しない顔 教室に戻りながらも敬太に美月との同棲の言い訳をしようかと悩む …万事休すか!私
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