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頭が痛かった。これで何度目だろうか。頭の中で天使と悪魔がケンカをしている。
私は布団の中で、その言い争いに耳をかたむけていた。
「これ以上、おむかえに行くべきじゃないわ。よくない」
天使が背中の羽を動かしながら言う。
「なにを言ってやがる。おむかえなしじゃなんもできねえだろ」
なあ? と悪魔は私に問いかける。そのまなざしは悪魔の名にふさわしく悪だくみをしていそうだ。
「そんなことない! 希望はまだ残されているわ」
「希望? そんなもの、こいつはとうの昔に捨てているさ」
「お願い。おむかえはしちゃダメ。それはあなたの心と体が一番わかっているはずよ」
天使は懇願する。
悪魔はそのさまを嘲笑しながら、天使を先の尖ったしっぽではたいた。
「へっ。冗談を。心と体は一番欲しているのは、おむかえだ。それしかない」
天使と悪魔はお互い一歩も譲らず、ついには殴りあい、恐ろしげな表情を浮かべた。
「この悪魔め!」
「善人風情が!」
口汚い言葉が飛び交う。
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