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そこは左側に銀杏、右側に紅葉の木が生えている空き地だった。
左に黄色、右に赤…。
どこかでみたことがあるような気がする色の連なり。
「以前ドライブをした時に、君が見覚えがあると見下ろしていた唯一の場所だ。ここで待っていれば彼が現れるかもしれない。でもいつになるかはわからないし、ずっと来ないかもしれない。でも待っていたことで再会できたカップルを一組知ってる。うちの両親だ。妹も一緒に二年前に自動車事故で亡くなってしまったが」
ホアンは切なげに空き地を眺めた。
「ここには昔、映画館があったようだ」
私はその言葉に忘れていた光景を想い出した。
臙脂色のジャンバースカートを履いて、同じ色のシートに座って、それで。ああ、そうだ。あのペアシート。
もう一度座って願えば、過去に戻れるんじゃないか。
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