三 ホアン

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「私一人っ子で、ずっとお兄ちゃんが欲しかったから、すごく楽しかったよ」 ホアンは何かを堪えるように上を向いて暫く黙ってから私を見て、静かに微笑んだ。いつもの笑みに泣きそうになりながら私も堪えてシートに座る。 お尻に張り付いたような感覚。ああ、これだ。あの特別サービスはまだ有効なんだ。つかさず「私を敦史のいる時代に戻して」と心から願った。 強く強く、敦史へと想いを飛ばして。
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