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一 待ちあわせ
十一月半ばの日曜日。
今日は敦史と三週間ぶりのデートだ。
敦史のお父さんは神社仏閣の多い京都でも指折りの腕の良い宮大工で、敦史は私と同じ高校を卒業後、お父さんの所属する工務店で宮大工見習いとして働いている。今年で二十三、見習いになってからは五年目の秋だった。先月辺りから工務店では市内にある寺の大規模な修復工事を受注して忙しく、敦史からはそれが終わったらデートしようと言われていた。
白いブラウスと臙脂色のジャンバースカートに敦史とペアで買ったスニーカーを履き、京都駅前で待ち合わせる。でも敦史が待ち合わせの時間に来たのは一時間後だった。楽しみにしていた分、引き伸ばされると参る。
「遅れるなら連絡ぐらい入れてよ」
「…ごめん。親父に呼び出されてうっかりしてた」
「仕事?」
「家に工具忘れたって言うから現場に届けに行って来た。兄弟子達と連絡つかなかったらしくて」
「…わかるけど、何があったのかってこっちは心配したんだよ?」
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