退屈つぶしになりうるのか

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今日の授業は楽しかった。 理解していることを繰り返しグダグダと教えたりしない。 小学校では、理解していることをループで教えたりしていた。小学校…嫌な記憶が脳裏に浮かび上がってきた。私を嘲笑ったりした女の子たちの無邪気な声。 オモイダシテハイケナイ― 心のなかで警鐘が鳴り響く。傷口に触れてはいけない。 慌てて授業を聞くのに集中する。にしても中学校の先生は教えるのがうまい。予習をしておけばしっかりと理解ができる。たまにうざい先生がいるけどそんなの少数だ。 あの時より強くなったはずなのに― やっぱり今日は調子がおかしい。 授業が終わったあと理咲が声をかけてきた。 「大丈夫?凜花。顔色悪いよ。」 と。無理やり笑みを作って 「今日の授業退屈だったから。」 悟られてはいけない―その思いだけが私を動かした。 「そういえば今日ラブレターもらったんだけど、あれってもう少しオリジナリティ出せないのかしら。絶対そんなやつなんて面白みの欠片のないやつよ。」 「しょうがないんじゃないの。てことはいつもの断り方するわけ。」 理咲だって面白がってる。私のいつもの断り方―質問を2つするだけだ。 「だから放課後がちょこっと憂鬱で、それもあるかも。」 「ねえそれって憂鬱1面白さ9くらいの比率でしょ。」 「まそうなんだけど。」 この会話から分かるように理咲は変人だ。私と同じく。優しいし、可愛らしいんだけどね。 そして雑談を少ししたらチャイムが鳴って休み時間が終わった。制服の波がぞろぞろと動いていく。それを無感動に見送る。 また授業が始まった。
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