退屈つぶしになりうるのか

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もうどんくらい経ったのかな。あたりが薄暗くなってきている。 書くのに没頭していて時間を忘れていたみたいだ。荷物をを急いでまとめて― 「えっあんた誰?」 「誰に呼び出されたか忘れるなんて薄情だね。覚えてないの。浅野結城」 確かこいつ成績もいいルックスもいいとかそういうのがクラスで噂になってなかったけ。まどうでもいいか。 「あああの面白みのない手紙の送り主か。女の子待たせるてひどい男。」 侮蔑を大量に込めた視線で見つめても答えた様子がない。困ったものだ。 「そっちこそひどいなこっちが一生懸命考えて書いたものなのに。それに全然待たされてるって感じじゃなかったと思うけど。」 「で要件は何。さっさと言って。今日面白い本借りれたからそれ読みたい。」 「全く薄情だな。頼みたいことは一つ。謎を解いてくれないか。」 彼女は獲物を見つけたように舌なめずりをした。 「それならあなた助手になってね。」 唐突に私は言った。ただ単に冗談だが。相手が困惑しているのが分かる。あ〜面白い。久々だ。こんな心躍ることは。 「お金は払うけど。」 「そんなのいらない。本は買いたいけどそんなの親とか親族あたりにねだればいい。で謎って何よ。」 彼は説明し始めた。 「僕は美術部に入っているんだ。そこで起きた事件なんだが― 梅雨のとてもムシムシしている日。こういう日は部活動したくないなってぼやきながら美術室に向かっていった。それでも行こうとしたのは書くのが途中の絵が気になっていたからだろうね。そして美術室の扉を開けようとすると開かなかった。だから持っている鍵で開けたんだ。だから、鍵は開いてるはずで、開かないはずがないんだが。そして翌日美術室に向かうと、三上先輩の絵がめちゃくちゃに破られて、ドアに立てかけてあった。そして美術室には鍵がかかっていて、窓も鍵を閉めていたから密室状態だったんだ。そして顧問が、犯人探しを始めた。アリバイがなかった美術部員は3人―三上先輩と吉谷さんと僕―には詳しいアリバイはなかった。そしてその日、鍵を借りたのが僕だけってことやや他に目撃された人がいなかったことで犯人扱いされてるんだよ。どうしたらいいと思う?」 「質問が3つある。 1つ目その扉は木造か? 2つ目周囲に隠れられるようなものがあった? 3つ目私に求めているのはその事件の真相それとも取るべき行動? 取るべき行動なら私は降りる。」 「1つ目の質問の答えはもちろん違う。他の扉と同じく金属っぽいあの扉だよ。隠れられそうなものは特になかったかな。最後の質問だけどその事件の真相を僕は求めている。僕だって取るべき行動くらい自分で決めるよ。」 「そう分かった。10分考えさせて。」
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