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「わかった。じゃ答え教える。」
「今回注目すべきは隠れるところがないってところと、なぜ扉が開かなかったかってこと。なんでそうしたか考えたらいい。扉が開かなかったのは、中に人がいて立てこもっていたから。鍵は開いてた。それを鍵で開けようとしたから鍵はかかってしまった。犯人は困ったことだろうね。美術室は2階。そんなところで窓から脱出なんかできないし鍵がかかってしまったら一巻の終わりだ。でも考えたんだろうね。犯人は、ベランダから隣の空き教室に移ろうとしたんだよ。そして、ここに来た人物に罪を着せようと思った犯人は、窓も鍵を閉めておかなければならなかった。そこで使ったのが、氷を使ったトリック。」
あのおなじみのアレだ。細かく砕いた氷を使って呉線tの上を降ろさせるというトリックだ。
「美術室には氷なんかない。だから犯人は保健室に頭をうったていって氷をもらったのさ。さて心当たりはある?」
「三上先輩…」
「これには確証はない。けど貴重な時間も奪われてしまったし対価はきちんと支払うよね。」
「……………助手になることじゃないの。」
「あれは冗談。対価は5万円か文芸部の部員になること。そんな雰囲気悪い部なんてやめてしまって文芸部に入ったらいいじゃん。さあどっちがいい」
「分かった文芸部の部員になるよ。そこまでお金は支払えない。」
「あと私を呼び出したのは私を嘲笑うためよね。多分振られた男子たちでしょ。あの手紙見返して気づいたことがある。全然文字に感情がこもっていないの。だからあの辺りで観察しているのかなって。それに誰が犯人化も分かっていたでしょ。トリックとかはわからなかったみたいだけど。」
屋上を指さして彼女は微笑んだ。気絶しそうになるほど驚いた。しかしそれも一瞬のことだった。
バレてしまったのか。それならしょうがない。と冷静に考える。
「そうだよ。よく分かったねそんなこと。」
「どうして分かったかは教えない。あと対価ってやつは冗談だから好きにして。退屈つぶしになったし。じゃあね。」
「ありがとう。水神凜花さん。じゃあね。」
そして二人は全く正反対の方向へと歩いていった。
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