卒業の日、希望咲く

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 車窓に目を向ける。市部とはいえども東京の沿線には畑も田んぼもない。マンションや家々が隙間もなく並んでいる。山のふもとに広がる畑と田んぼだけがすべてだった世界から、ずいぶん遠くまで来たものだ。 「そしたら担任の先生が、学校に来いって来てよ」  学校に行こう、お友達もいっぱい待ってるよ、勉強もわかるようになるよ。母や祖母とは違う、若い先生の優しい声に少しだけ心が揺れた。 「若くて美人な?」 「そうそう、都会の大学出てきた姉ちゃん先生な。行かないって言っても、毎日毎日来るんだぜ。しまいには自分の通勤に合わせて迎えに来て、学校まで連行されてよ」  細い姉ちゃんだと侮っていた先生に小脇に抱えられ、その姿を見た母と祖母がアホみたいに口をあんぐりとしていた。細い先生のどこにこんな力があるんだ、と。 「坊主の豊島が美人の先生に連行されるとか、マジウケる。その現場見てーわ」 「誰が見せるか!」
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