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自分と同じような赤ちゃんが、そこら中に転がっていた。
数人で遊ぶ子もいれば、私のように一人で虫や花をいじる子もいる。大きな大人と遊ぶ子もいる。
喧嘩はない。泣く子もいない。全員がそれなりに楽しく、各々過ごしていた。
何年、いや何万年かもしれない。毎日が過ぎた。夜明けが来て、昼間があって、日暮れになって、夜が来る。
遊んでいる間に、それは無数に経験した。その間、眠る必要はない。その気になれば、好きなだけ好きな色味の空を眺めることもできた。
時間の存在は、知っていた。そしてそれが「来るもの」であることも理解していた。
というのも、「時間がきたから」と自分から手を振ってどこかへ行ってしまう赤ちゃんもいたし、大きな大人や小さな大人が抱いて連れて行ってしまうこともあったからだ。
またその逆もあった。どこからか一人でにこにことやってくる赤ちゃんもいれば、大きな大人と手をつないでやってくる子もいる。稀に小さな大人に抱かれてくることもある。「時間がくる」ことで人物が移動することは、よくあることだった。
ところで、大人にはニ種類ある。大きな大人と、小さな大人だ。もちろん大小の違いは一目瞭然だが、彼らの違いは大きさだけではない。
大きな大人は、強い光を放っている。
そして入れ替わることなく常にこの空間にいる。さらに彼らを欲したときに、一瞬にして現れる。
逆に、小さな大人の光は弱い。そして無数にいるかのように、代わる代わる違う人物がこの空間に来ては、長居をせずに帰っていった。
私はずっと、虫と花で遊んでいた。
かわいいてんとう虫。名前は、ない。
そして彼はどんなにかわいがっても、潰れることも逃げることもない。
捕まえると、真っ黒な目をくりくりさせて手のひらに座った。
花もしかり。摘んでも枯れず、ちゃんと茎についていた瞬間の、気に入った状態のまま握り続けることができた。
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