越境

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「お迎え」にいくおじいちゃん、おばあちゃんたちもみんな親切でしたし、何より車を運転することが好きな僕にとってこの仕事は天職みたいなものでした。 「今日も病院ですか?」 「ううん。今日はね、お出かけなのよ」  限られた地域内で活動しているので、利用者の顔ぶれはいつも変わりません。近所のおばあちゃんに会いに行くような感覚です。 「お出かけですか。どちらまで?」 「うん。市民会館でクラシックのコンサートがあってね」 「なるほど。いいですね」 「そうなのよ。ところで、あなた勉強のほうは大丈夫なの?」 「はい、今のところは。出されていた課題もすべて終わりましたので」 「あら、すごいわね。うちの孫とは大違いだわ」
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