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「今日は何往復目?」
「まだ片道一回目です」
「そうか。俺はもう2往復したよ」
戸田さんは気さくな方で、あまり似合っていない茶髪にスポーツブランドのジャージをいつも着ていました。もともとタクシードライバーで自由な時間を求めて転職をしたと聞きました。
『お迎え依頼です』
そのとき、僕と戸田さんのスマートフォンに同時に通知が来ました。女性の機械音声が画面の地図上にピンを指し、依頼者の位置を知らせています。
「なんだ。またか……」
戸田さんはすぐにスマートフォンを持ちましたが、あきれたようにまたポケットへしまいました。
「なんですか?」
「最近よくあるバグだよ」
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