6話:レッスンは続く

2/3
前へ
/11ページ
次へ
◆◇◆  部屋は明かりを落としてあった。用意されていたバスローブを着て、温かい身体を落ち着かなく抱きしめている。箕輪さんの部屋は男の人らしくあまり物がない。身長が高いからベッドは大きいけれど、他はセンターラグとローテーブル、デザイン棚に本やCDがあって、パソコンがあるだけだった。  どこに座ろうか迷ってベッドの端に腰を下ろす。ベッド横には小さいけれどサイドボードがあった。  ……ここに、エッチな物とかあるのかな。ちなみに僕の部屋のサイドボードにはある。  いや、だからって見ないけれど。好奇心だけはある。 「気になるの?」 「ひょわぁ!」  驚きに変な声が出た。見ると濡れ髪を拭きながら箕輪さんが入ってくる。そして笑って、僕が見ていたサイドボードの引出しを開けた。 「!」  ゴムと、ローション完備してる。それにその横にある怪しいブルーレイ、なに? 「期待通り?」 「……かも?」 「見る?」 「刺激が強すぎるのでダメですぅ」  恥ずかしくて僕は顔を覆い、箕輪さんは面白そうに笑った。 「相沢さんの部屋にもありますか?」 「それは、まぁ……」  こんな可愛いラインナップじゃない。アナルプラグもディルドもあるし、ローターもあります。とても見せられない! 「和俊さんって、意外とエッチなんですね」 「え? あっ、ふっ……んぅぅ」  箕輪さんに不意打ちで名前を呼ばれて、他にも色々言われて動揺して見上げると、しっかりと唇が重なった。最初から舌を差し込まれて口内を掻き回して舌を掬い上げるようなキスだった。  ダメだ、腰が痺れる。身体から力が抜けてしまう。胸に手を置いてどうにか支えているけれど、頭の中もトロリと溶けてしまいそうだ。  唇が離れて見上げた表情には色気がある。少し飢えたような、欲しそうな目。 「そんな顔しないでください。最初は優しくしたいって思ってるんですから」 「そんな、顔?」 「……エッチで、色っぽくて、可愛くて。口半開きで可愛い舌が見えてますよ」 「そんな事、言われた事ないですよ」  箕輪さんは僕を可愛いというけれど、僕自身はあまりぴんときていない。  伝えると、箕輪さんの目が困ったように細くなった。 「本当に無自覚で、心配になってしまいます。貴方はとても可愛くて、俺の目からはエッチに見えます」 「すみません、自覚なくて。僕、自分の事があまり好きじゃなかったから」  恥ずかしくて俯いたら、箕輪さんは困った顔をした。 「では今から、好きになってください。俺が和俊さんの素敵な所、沢山言いますから」  そう言って、彼はチョンと唇に触れた。  丁寧に寝かされるまでは僕にも余裕があった。でも手が、唇が、舌が動き出したらそんなもの何もなかった。 「ひゃ! あっ、やぁ」 「可愛いおっぱいです。むっちりとして、柔らかいのに奥にはちゃんと硬さもあって。肌も綺麗ですよね。吸い付くようです」 「あの、恥ずかしい……」 「俺の好きな和俊さんの部分です」  そう言いながら大きな手が全体で僕の胸を揉み、顔を見せない乳首をカリカリされる。胸がジンジンして気持ち良くなってきてしまう。そこに血が集まって、ムズムズしている。 「ほら、恥ずかしくないですよ。早く可愛い顔を見せてください」 「ひっ! あっ、やぁぁ!」  チュッと吸われ、舌がほじくる。唾液に濡れて敏感な先端が舌先に触れているのを感じる。乳首にも下肢にも血が巡って熱い。気持ち良くて考えられなくなってしまいそう。  ちゅぅぅぅぅ……と吸い出された乳首がぽってりと顔を出す。少し赤くて、大きい乳首。その根元を見える様に舐められて、僕は茹だってしまいそう。こんなエロいの、想像したこともない。 「ほら、敏感乳首です。根元気持ちいいですね。硬くなっていく。美味しそうに実った木の実みたいですよ」 「やっ、言わない、で。恥ずかしいです」 「和俊さんが恥ずかしがっている顔も、俺は好きなんです。目が潤んで可愛くて、頬も赤くなって……美味しそうでたまらない」 「ひやぁ!」  引っ張り出された乳首を指でクニクニと摘ままれて捏ねられて、僕は一瞬真っ白だ。もう片方も同じように引っ張り出されて、両方を弄られる。ほんの少し潰されて捻られるのもイタ気持ちいい。もう片方は舌と唇で優しくねっとりと絡められておかしくなりそう。 「凄い勃ってますよ。乳輪も張ってきて。今ならAカップくらいありそうです」 「や……箕輪さんもう、乳首ダメですぅ。僕、乳首だけでイッちゃいそう」  ハフハフしながら訴えた。頭がぼーっとして、身体が熱くてどうにもならない。ずっと緩く腰が動いている。 「名前呼んでくれたら、イカせてあげます」 「名、前?」  箕輪さんの、名前……。 「幸彦、くん?」  口にしたらちょっとこそばゆい。でもそんなのはあっという間に消し飛んだ。箕輪……幸彦くんが僕の昂ぶりを突然口に入れたから。 「ひゃ! あんぅ、ダメ、出ちゃう! 出ちゃうから!」 「出して欲しくてしているので問題ありません。このままイッてください」  人生初めてのフェラは痛いくらい気持ち良くて頭の中がバカになった。柔らかくてヌルヌルの口の中で沢山可愛がられた僕はあっけなく幸彦くんの中に出してしまった。そして幸彦くんは当然のように飲み込んでしまった。 「ダメ、だよぉ……汚いよ」 「平気ですよ。ほら、精液もタンパク質です。しかも生搾りで鮮度は抜群ですよ」  いや、確かにタンパク質だけど。プロテインじゃないんだから。  でも、そうか。それなら……。 「あっ、あの。僕も、その……幸彦くんの生タンパク質、飲んでもいいですか?」 「……え」  幸彦くんが見た事のない表情で固まった。 「だっ、ダメですよ! 身体に悪い!」 「だって、今幸彦くんが鮮度抜群のタンパク質だって言ったし」 「俺はいいんです!」 「僕はダメなの?」 「だって、そんな……俺の、デカいし……」 「…………うん、そうだね」  パンツの前がだいぶもっこりしている。かなり大きいのは前に触ったから知ってる。  でも、それで興奮したんだ。それに、してみたかったんだ。  そろそろっと抜け出して、僕は幸彦くんの前に座った。そしてパンツの上からそっと舌を這わせた。 「和俊さん!」 「んっ……嫌じゃない。もっと、してみたい」  僕のとは全然、形も、大きさも、熱さも違う。凄く硬くて、大きくて太くて、筋も浮いてる。僕、これを挿れられるの? 入るかな?  考えたらなんだかお尻の孔がキュッとした。出したのに興奮している。  パンツが僕の唾液で染みになっている。でも布越しに染み出しているのも分かる。ぬるりとした感触がある。 「パンツ、下ろしてもいい?」 「……引かないでくださいね」 「引く? どうして?」 「……貴方の乳首舐めて、痴態を見ただけでこんなに硬くしてるって、変態っぽくないですか?」  聞かれて、びっくりして、僕は笑った。 「全然だよ。凄く嬉しい」  僕で興奮してくれる君が、とても愛しいよ。  パンツを下ろすと余計に形がはっきりとする。目の前にある立派なものを僕は手を這わせ、一生懸命舐めた。だって口には入らない。筋の所とか気持ち良さそう。カリも高い。ぷっくりと透明な先走りをこぼす先端を口に含み、ちゅっちゅと吸った。 「っ! 和俊さん、それダメですよっ」 「ごめんなさい、下手くそで。経験なくて。でも、一生懸命頑張ります」 「だから頑張ったら!」  尚も僕は喜ばせようとした。喉につきそうなくらい深くまで咥えたり、吸ってみたり、舐めたり。手も使った。僕の口の中で育ってくれるのが嬉しくて、僕は夢中になってそうした。唾液と先走りを混ぜれば飲み込める。でも少しだけ端から零れてしまう。少し顎も怠いけれど、あまり辛いと思わなかった。 「和俊さんダメだ!」  切羽詰まった声と一緒に肩をグッと押される。チュポンと僕の口から幸彦くんのものが抜けてしまうのと、先端から勢いよく白い物が飛び散って僕の顔にかかるのは同じくらいだった。 「うわぁぁ、ごめんなさい! 思い切り顔射して!」  顔射……これが。  知識でしか知らない。温かな体液が僕の顔を汚している。口の端についたものを指で掬って舐めてみたけれど、やっぱり嫌だとは思わなかった。 「舐めないでください!」 「嫌じゃないよ。それに、なんだろう……嬉しい」  出したくなるくらい気持ち良かったんだ。そう思ったら、なんだか自信がついた。  再び押し倒されて正面から、僕は幸彦くんの動きを見ている。指がゆっくりと中へと入っていくのを感じる。ヌチッという音をさせて。 「んぅ、ふっ」 「苦しくありませんか?」 「あっ、大丈夫です」  指一本なら平気。でも、やっぱり自分とは違う。長さも硬さも違う指が僕の中を弄っている。そう感じるともの凄くエッチな気分だ。 「あっ、あぁ」 「本当に準備してきたんですね。こんなに柔らかい」 「ひゃぁ! あっ、んぁぁ」  硬い指が僕の中を探るように動いているのを感じる。もう少しで気持ちいい場所に届いてしまう。期待に心臓がドキドキ音を立てている。  けれど不意に違う部分がミシミシと音を立てた。 「いっ! いたぁ!」 「和俊さん?」 「足、痛いですぅ」  幸彦くんが僕の足を持ち上げて更に深くなった時、僕の股関節が悲鳴を上げた。思わず上半身を上げてしまうくらいだ。 「身体が硬いとは思っていましたけど……ここまで」 「うぅ……僕正常位がよかったのに」 「ストレッチ、頑張りましょう?」 「はい」  まさかこんな所で弊害が出るとは思わなかった。  でもそうなると、どういう風にしたらいいのだろう。 「普段はどうしていますか?」 「え? えっと……」  普段……。僕は大人しくうつ伏せになってお尻だけを高く上げ、指を後ろに持っていく。そしてくぱっとお尻の孔を広げた。 「……エロい」 「え? はうん! ひゃひぃ!」  息を飲むのは伝わったけれど、その先は予想外だった。指が二本僕のお尻に入ってきて気持ちのいい場所を押し上げていく。ブルブル震えた、気持ち良くて。頭の中真っ白になる。 「どうしてこんなにエッチなんですか、和俊さん。お尻も柔らかいし、自分で弄ってるんですか!」 「ごめ、なさい! あっ、そこ気持ち良くてぇ」 「エッチですよもう。俺の理性が切れます」 「切って、いぃ……よ?」  だって、初めての恋人との初めての夜だから。それなら貪られるように抱かれたい。涙目の僕が振り向くと、幸彦くんは飢えた男の顔をしていた。  性急に指が三本に増えて、ローションも沢山足されてお尻からあり得ない濡れた音がする。ヌチヌチさせながら解されている間に僕はそこだけで数回イッた。出さないまま雌イキしているのを見られて更に激しくされて。僕、こんなの初めてだ。 「入れますよ。覚悟してください」  余裕のない声がして、後孔に熱いものが触れる。じっくりと割りながら入ってくるのを感じて、僕はそれだけで頭の芯がジンジン痺れた。  今、確かに繋がっている。誰とも繋がれないと思っていた僕が、こんなに確かに。 「あっ、あっ……気持ち、いい……幸せ」 「和俊さん」 「僕……愛されてる?」 「勿論です!」  後ろから抱きしめられる重さと熱が心地よい。深く入り込む楔が愛おしい。嬉しさに泣きながら僕は沢山感じた。深い部分に触れてくれて、お腹の中がジンジンする。一杯こみ上げる感じがする。どうしよう、こんなに幸せでおかしくなりそう。 「和俊さんも、一緒ですからね」  クラクラしてまともに答えられない。でもちゃんと感じてる。僕の中で大きくなっているし、とても深い部分を突かれている。後ろから握り込まれ、抱きしめられながら僕はイッた。もう出るものもあまりなかったけれどトロトロに蕩けて白濁がポタポタおちていく。その僕の中で確かに、幸彦くんもイッたんだと思う。  涙目のまま後ろを向くと、優しい笑みがある。そして当たり前のようにキスをしてくれる。僕の夢は、理想は、こんなに当たり前に叶ってしまった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加