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5話:追加レッスンで
気づけばジム通いは1ヶ月を過ぎて、僕は体験から本会員になった。
「先輩、痩せました?」
「え?」
仕事の昼休み、ロッカーから朝買ったパンを取り出している僕の背中に秋本ちゃんが問いかける。それに、一緒に休憩に入った薬局長も頷いた。
「最近シュッとしたと思ったんだけど。気のせいじゃなかったかも?」
「ジムの成果出てきたんじゃないです?」
「そう、かな?」
なんか、そう言われると少し嬉しい。でも実際は体重が増えている。箕輪さんは「筋肉がついてきたんです」と言ってくれた。
「そういえば、最近休憩中にお菓子爆食いしてませんね」
「ジュースも止めて炭酸水よね」
「あはは」
お菓子はおからクッキーにして、時々高ポリフェノールのチョコを摘まんでいる。最初は苦かったしボソボソして食べにくかったけれど、食べ続けると慣れてきて平気になった。それに、箕輪さんが美味しいものを教えてくれた。カカオ豆は産地によって微妙に味が違うそうで、そういうのを食べ比べるのも楽しいそうだ。今は、少し分かる。
「あー、でもちょっとマスコット感薄れたかも」
「え?」
「先輩はこの薬局の癒やし系だったから」
「でも、健康に害のあるレベルはいただけないもの」
「それはそうですけれどね」
僕、そんな風に思われていたんだ。
でも、またちょっと自信がついた。努力は報われているんだ、確実に。
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