★2 雫と恋

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★2 雫と恋

「雫(しずく)、何考えてるの?」 雫とは、僕の名だ。 雲に寝転がる僕の上に、ちょこんと乗り、胸に顔を埋めて甘える幼女がひとり。 幼女の名は恋(れん)と言う。 僕のツイビト候補者だ。 恋はいつも小声で、ちゃんと耳を傾けていないと聞こえないし聞きそびれてしまう。 甘いキャンディみたいな声だ。 「恋は、僕の顔を知らないのに、よくそんなベタベタ出来るね」 つい、本音がポロリ。 (しまった!) と思っても、後の祭り。 「え? それなら雫だって、嫌がらないじゃない」 「……」 嫌がらないんじゃない。 幼い女の子に恥をかかせたくないだけだ。 思うことはあるけど、声に出すのはやめた。 「そうだね」 「そうよ! それに、雫の声好きよ。私、声フェチだし」 「どんな声?」 「んー、頭よさそうな声!」 なんだそりゃと思うが、声を褒められたのは素直に嬉しい。 「ありがとな」 ヨシヨシと頭を撫でると、恋が嬉しそうに、くすくす笑う。 ちなみに十五でやるツイビト式は、片方の年齢が十五になるとやらねばならない。 僕はもうすぐ十五で、恋はまだ五歳。 (恋には、まだ早いよなぁ) (恋は声フェチだし、声好きって言ってたし、嫌がらないと思……いたいけど) 正直、実際の顔を見た後で、やっぱりイケメンがいいなんて言われたら、気が狂いそうだ。
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